ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

      Reviews 16  The Deccagonesとコネチカット州の某プラント

  ブートレッグ・ファンならば「光を当てなければわからない濃いブルー・カラーのレコード」といえばすぐにわかるかもしれない。それは 本文中「デッカ・テープス・総論 / セクション5誤算だったJoe Pope氏の思惑」や「セクション 12 『Rock'N'Road』と『 NO.3 Abbey Road NW8』」において登場する、Joe Pope氏がStrawberry Fields Forever(SFF)で通信販売を行ったブートレッグ・タイトルのことであり、それら「The Deccagones」をはじめとするブートレッグはすべてホワイト・カバー(あるいは無地のブラック・カバー)に収納され、濃いブルー・カラーでのプレスという共通点があった

↑ 写真 The Deccagones(DgnL1)1980年2月に発売された、Joe Pope氏制作のLPのThe Deccagones 基本的にホワイト・カバーで発売され、濃いブルー・カラーでプレスされている。その後、ディーラーが独自にスリックなどをつけて販売した(DgnL2/3/4

 本文「デッカ・テープス・総論」に登場したこれらのレコードはすべて、コネチカット州ある某プラントでプレスされた。私が調べた限りこのプラントでプレスされたレコードは、基本的に同じ(濃いブルーの)塩化ビニールを使用しているようである。

 下にリストした正規レコード(資料1)は、「S. Evelyn Avoglia 」というアーティストの「An Offering Of Songs」というタイトルのレコードである。バック・カバーに書かれている内容から、コネチカット州にあるスタジオで録音され「℗」マークから最初のプレスは1979年だったと判断できる。(注:℗はレコードの原盤権、©は音楽や著作物の著作権を示す )また、ディスク・レーベルのデザインは「The Deccagones」のそれと酷似している。

 マトリックスは 「CX-180 STER 」となっている。このプラントでは、CO-あるいはCOOK-、そしてCX-がマトリックスナンバーの冒頭についており、それらは年代によって異なる。CX-で始まるナンバーは1979年頃に多い。

← 資料1

正規レコード

S. Evelyn Avoglia / An Offering Of Songs

The Deccagonesなどと同じコネチカット州にあるプラントでプレスされた。

マトリックス

CX180A/B STER(STERはSTEREOの略と思われる)



 本文中では、同じプラントでプレスされた、ブートレッグ「Rock'N’Road」のほか、ソロ・ブートレッグのPaul McCartney / Sunshine Superman ・The Melvin Bragg Interview、John Lennon 「Doctor Winston O'Boogie / On The Tomorrow Show」、George Harrison「The Tanned Equine Interview」、 Ringo Starr 「Scouse The Mouse」も取り上げた。

← 写真

上段:ROCK'N'ROAD(RN1

1979年夏にSFF会員向けに通信販売された。

下段:

The Deccagones同様、小売店によっては独自にスリックが付け加えられるなどして販売された。(RN2/3)(RN4/5

↑写真 ROCK'N'ROAD発売とほぼ同じ時期、それぞれのソロ・ブートレッグもSFFを通じ販売された。

Sunshine Superman ・The Melvin Bragg Interview  (RN6)、Doctor Winston O'Boogie / On The Tomorrow Show、The Tanned Equine Interview 、Scouse The Mouse」(RN7/8/9

 実は、このプラントでは非常に有名なラジオ番組の放送用レコードがプレスされていた。

 それは「Rock Around The World」という番組で、1973年に始まり全米約160のラジオ局で毎週放送されていた。また同時に、ちょうどRolling Stone誌のような新聞紙形式の月刊マガジンも発行されていた。番組は主にアーティストへのインタビューが多いが、ライブ録音を流すこともあった。少なくとも1975年から1977年くらいまでこのプラントを利用し放送用レコードがプレスされていたことがわかっている。現在でも「ratw.com」へアクセスすると、当時オンエアされた番組のスケジュールと一部放送内容を聞くこともできる。

 ↓ 写真 (資料2) Rock Around The World 放送用レコード プログラムNo.118 Eric Clapton特集 1976年11月

 上記(資料2)はプログラムNo.118、エリック・クラプトンを特集した放送用レコードである。レコードには放送のキュー・シートがついており、見ると1976年11月7日から13日にかけて放送されたことがわかる。「ratw.com」でも確認したところこの放送時期に間違いはない。マトリックスはCO 8828 A/B となっている。当然ながらこのレコードは1976年11月7日までにはプレスされているはずで、常識的に考えて10月中であろう。このように他のプログラムの放送時期と「Rock Around The World」放送レコードのマトリックスをみていくと、1976年においては番号と日付はほぼ比例していると言える。

例をあげると:

The Hollies /Alan Clarke  1976年5月16日放送     マトリックス     CO8416

Rod Stewart          1976年7月4日放送       マトリックス     CO8496 

Genesis             1976年8月29日放送   マトリックス     CO8575

Eric Clapton           1976年11月7日放送   マトリックス     CO8828  (上記資料2)

Al Stewart            1976年11月14日放送    マトリックス     CO8835

Encore Performances      1976年11月21日放送     マトリックス     CO8842

 さて、これらの放送時期とマトリックスから、ある2つのブートレッグが浮上する。ひとつは「Wings / Open-End Interview With Wings To Promote Their "Band On The Run" Album」(Co1)というカウンター・フィット・ブートレッグで、マトリックスは「CO8447」である。このブートレッグは「Paul and Linda McCartney / Radio Interview Special With Paul And Linda McCartney」というタイトルで、1973年に制作された「Band On The Runプロモーション・レコードからのディスク・コピー盤である。

 このマトリックス「CO8447」を上記「Rock Around The World」の放送用レコードと照らし合わせると、およそ1976年の6月頃にプレスされたのではないかと推測できる。

 このブートレッグは「You Can't Do That」に掲載はされているものの、残念ながら発売時期などの情報は乏しかった。しかし、1976年の秋頃に会員に送られたSFF ニューズ・レターNO.22に同梱された通信販売用カタログにリストされていたことがわかった。そして、そのカタログには「Still available」と書かれているため、この時の販売が最初ではなかったはずであることがわかる。となると、なおさらのことマトリックスからの推測(6月)の可能性が高いと言える。

↑ 写真 Wings / Open-End Interview With Wings To Promote Their "Band On The Run" Album(Co1) マトリックスは「CO8447」

↓ 写真 1976年秋に送付されたStrawberry Fields Forever(SFF)のニューズ・レターNo.22に同梱されたカタログには「Still available」と書かれ、$5.00で販売された。

 そこでまたもう一つのブートレッグが浮上してくる。 今度は「CO8684」のマトリックスを持つ「Scraps」というブートレッグである。前段の「Rock Around The World」の放送用レコードとマトリックスから考えると、このブートレッグは1976年9月頃にプレスされていたことになるのだ。なぜ今回このブートを取り上げたかというと、このブートは過去に様々な形で紹介され知られているが、制作時期や詳細については不明な部分が多いからである。


← 写真 「Scraps」(Co2)

REGEN Records  (001)

 Matrix: CO 8684 A STEREO

   / 001B CO 8684 B STEREO

過去に様々な形で紹介され知られているが、制作時期や詳細については不明な部分が多いブートレッグであった。

やはり濃いブルー・カラーでプレスされている。

 アメリカの某ウェブ・サイトではこのブートレッグは1980年以降のプレスと推測している。その理由は「I'll Be On My Way」が1980年リリースの「Rough Notes」からのコピーであるからとしているのだが、私はマトリックスによる結果と他の収録曲の分析から1976年9月にプレスされたブートレッグと判断した。そしてこのブートレッグ製作者はJoe Pope氏ではないが(SFFで販売されたという形跡はない)、SFFとは何らかの関わり合いを持った人物ではないかと考えられるのである。

     下記は「Scrap」とCBMの「Have You Heard The Word」(WEC 3624, 1973年)、そしてMelvinの「21」(MM02, 1975年)の収録曲目である。当初、これらのブートレッグ収録曲と重複するタイトルが多いため、単純にコピー盤かと考えた。しかし、それぞれのサウンドを聞いて分析すると結果は異なっていた。

Scraps

A1 Its' For You
A2 How Do You It
A3 Love Of The Loved
A4 I'll Be On My Way
A5 Hippy Hippy Shake
A6 Some Other Guy
A7 I Forgot To Remember To Forget Her
A8 Lend Me Your Comb
A9 Lucille
A10 Shout
A11 I Don't Want To See You Again

B1 Across The Universe
B2 What's The New Mary Jane
B3 Dig It
B4 Maxwell's Silver Hammer
B5 Besame' Mucho
B6 The Long And Winding Road
B7 Jaz Piano Theme
B8 Rip It Up/Shake Rattle And Roll


Have You Heard The Word(CBM)

A1 You Really Got A Hold On Me
A2 The Long And Winding Road
A3 Maxwell's Silver Hammer
A4 Jazz Piano Song
A5 Besame Mucho
A6 Octopas garden
A7 I Me MIne
A8 Don't Let Me Down

B1  I Forgot To Remember To Forget Her
B2 Twist And Shout
B3 Roll Over Beethoven
B4 Long Tall Sally 
B5 Dizzy Miss Lizzy
B6 Lucille

21(Melvin)

A1 Hippy Hippy Shake
A2 To Know Her Is To Love Her
A3 Cry Over You
A4 Some Other Guy
A5 Love Of The Loved
A6 Lucille
A7 Crying,Waiting,Hoping
A8 A Shot Of Rhythm And Blues
A9 I'm Sure To Fall
A10 Shout

B1 Have You Heard The Word
B2 Honey Hush
B3 Commonwealth Song
B4 Get Off White Power
B5 Suzi Parker
B6 Besame Mucho / Cotton Fields
B7 Everybody's Rockin' Tonight
B8 Whole Lotta Shakin' / The Walk
B9 What's New Yer Mary Jane

 まず「Scraps」のA1とA11は、1964年にCapitol Recordによってプレスされた「Introduce New Songs」というプロモーション・レコードに収録された内容で、そこから制作されたカウンター・フィット盤とそのコピー盤、(Intronew1)と(Intronew2)のうち、「Scraps」には(Intronew2)のSideAよりディスク・コピーされている。

← 写真 1964年にCapitol Recordによってプレスされた同名タイトル、プロモーション・レコードからディスク・コピーされたカウンター・フィット盤。

左側 : (Intronew1)  右側 (Intronew2 (Intronew2) のSideBは「Shout」が収録されている

 次にA2の「How Do You Do It」は、1976年6月頃にJoe Pope氏によって製作されたシングル盤「How Do You Do It / Revolution (SFF/SOK 21)」からの収録。会員向けに販売され、その年、ボストンで行われたコンベンション「Mystery Tour ’76」でも参加者に販売された。もし間違いなければ「How Do You Do It」を収録した最初のLPブートレッグということになる。

← 写真 

左側 : Love Of The Loved  (Maclen 7inch, Decs03) Acetate盤からの音源と思われる「Love Of The Loved」が両面に2つのバージョン収録されている。

右側 : シングル盤「How Do You Do It / Revolution」 (未リスト)

 A3はシングル盤ブートレッグ「Love Of The Loved」 (Maclen 7inch, Decs03)のSideAに収録されたバージョンからコピーされ収録されてある。A4は後述する。A5とA9はポピュラーなブートレッグ「Outakes 1&2(TMOQ)」と同一のサウンドだが、おそらくCBM「Studio Sessions Volume One / Two」からコピーされたと思われる。A6はCBMの「Some Other Guy」(1973年夏)からか、もしくはWizardoによる「Happy Birthday」(WRMB345、1976年春)のどちらかからのコピーと思われるが、冒頭でポーズ・ボタンを押すような音が入っているので、前のトラックと繋がっている「Happy Birthday」(WRMB345)収録の「Some Other Guy」である可能性が高い。A7は途中までしか入っていないテイクで、CBMの「Have You Heard The Word」(1973年初頭)からコピーされている。A8はCBM「Peace of mind」(1973年夏)からのコピーである。A10はA1とA11が(Intronew2)からのコピーなので、(Intronew2)のSideBからのコピーとも思ったのだが、実際はCBM「Some Other Guy」からのコピーであった。 

 B1は1969年の「No One's Gonna Change Our World」(WWF)からのコピーで、ステレオ収録されている。B2は「The E.M.I. Outakes」(1975年)からのディスク・コピー。「Scraps」のアルバム・カバーから察すると、B1とB2をステレオ収録したことを、セールス・ポイントの一つにしているようだが、B2は1976年当時、様々なブートレッグに収録されてはいたものの、ステレオ収録は「The E.M.I. Outakes」のみだった。(ちなみにMelvinの「21」におけるB9はモノラル収録であった)

 B3は「Silver(silv1)」あるいは「Silver Album The Greatest(silv5)」からのコピーとも考えられるが、この音質の悪さから考えると「Let It Be - Live (WCF, silv9)」からのコピーと考えるのが妥当であろう。また、B4~8までは映画「Let It Be」のサウンド・トラックからだが、これらのトラックはすべてCBMの「Cinelogue Let It Be」(1974年)からである。

↑ カバーにはSTEREO表記とステレオ収録の2曲に印がついている  


← 写真

上段左から Have You Heard The Word、Some Other Guy、Peace Of Mind (すべてCBM)

下段左から Let It Be -Live(WCF)、  Cinelogue Let It Be(CBM)、The EMI Outakes(Phonygraf)

 さて、お気づきかと思うが、コピー元はほとんどCBM盤、そして東海岸で出回ったシングル盤なのである。コネチカット州でプレスされたブートレッグであるから当然とも言えるのだが、特にこのブートレッガーはSFFと関係があるか近い位置にいたはずである。

     前述の通り、アメリカの某ウェブ・サイトでは、A4の「I'll Be On My Way」が1980年発売の「Rough Notesからのコピーと考えており、よって「Scraps」は1980年代にプレスされたブートと判断している。

 しかし、その推測は割と簡単に否定できる。まず1981年に出版された「You Can’t Do That」には1980年までのブートレッグが掲載されている。しかし、1980年後半に登場した「Rough Notes」は原稿が間に合わなかったためなのか掲載されていない。一方で「Scrap」は掲載されている。よって少なくとも「Scrap」は「Rough Notes」よりも前であり、1979年までにはリリースされていたはずである。

 また、同サイトではB3は「Super Tracks 1」からのコピー、そしてB4~8では「Have You Heard The Word?」と「Super Tracks 1」からのコピーと判断している。しかしそれだと、まずB3の冒頭部分がフェード・インしてくるはずだが、それがない。またB4の前には「Super Tracks 1」には収録されていないポールとジョージのやり取りが収録されているので、それらの可能性はほとんど無いと言っていいだろう。

(写真↑)1981年出版の「You Can’t Do That」「Broadcasts」(LK4450)ではタイトル、内容、カバーなど最小限の記述のみ、それは1980年中頃のリリースであったため、すべてのインフォメーションが間に合わなかったと記載されている。そして(写真↓)「469. Rock'N'Road」から「473. Scraps」までのページには1980年後半リリースの「Rough Notes」のタイトルはない。明らかに掲載が間に合わなかったのである。

 ではA4の「I'll Be On My Way」(BBC, Side By Side , 1963年4月4日録音  ) について詳しく解説しよう。そもそも「I'll Be On My Way」が最初にブートレッグに収録されたのは「Soldier Of Love」(CBM, 1974年)であった。この収録を含む1970年代すべての「I'll Be On My Way」の音質はラジオ放送を録音したものでクリアな良好なものは無い。その後Wizardoによる「Happy Birthday」(WRMB345)と「Magical Mystery Tour」(WRMB310)に収録されたが、なぜか「Soldier Of Love」(Pop Go The Beatles, 1963年7月16日 )も一緒に収録された。そして、その数年後の1979年にはMelvinによる「The Beatles Vs. Don Ho」(Silver Lining, MM08)にも、これら2曲は一緒に収録された。この時も、音質の向上は特に無く、どちらかというと貧弱な音質ではあるのだが、「Soldier Of Love」には決定的な違いがあった。CBM盤やWizardo盤に収録された「Soldier Of Love」には曲の途中DJの声がかぶさるのである。しかし「The Beatles Vs. Don Ho」収録のものにはDJの声が入っていない。これはどういう状況で起こったかというと、おそらく当時は放送用レコードから放送していたはずであり、放送が複数の局でなされるとき、放送局によってはその局のDJが独自にナレーションを入れるときもある。つまり同じ放送用レコードから、別の局にまたがって複数回放送があったと考えられるのである。「I'll Be On My Way」と「Soldier Of Love」が同時に収録されたブートレッグが複数あり、「Soldier Of Love」の内容に違いがあるということは、「I'll Be On My Way」異なる時期に、異なる放送局から放送され、そして異なる音源提供者からのテープがソースとなっていたと考えられる。

← 写真  左側から

Happy Birthday」(WRMB345) 「Magical Mystery Tour」(WRMB310)「The Beatles Vs. Don Ho」(MM08)   「Silver Lining(MM08)


 以上のことから「Scraps」に収録された「I'll Be On My Way」がCBM盤やWizardo盤の同曲より音質が向上していてもおかしくないし、1980年の「Rough Notesに収録された同曲も、若干音質の向上があって不思議なことは無い。異なる音源提供者によるテープやダビングのジェネレーションによっても音質に差が出ていたと思われる。

 またもう少し詳しく補足説明すると、1970年代にブートレッグに収録された「I'll Be On My Way」はすべて完全ではない。フェード・インで始まりフェード・アウトで終わる。そしてそれは、1983年に登場した「BEATLES AT THE BEEB」(BOX set)においても変わっておらず、音質の向上もわずかであった。「I'll Be On My Way」が完全な形、そしてクリアな音質で登場したのは、実に1986年の「THE BEATLES AT THE BEEB Vol.1」においてであった。つまりそれまで1963年に録音したマスターは見つかっていなかったと推察され、1970年代と「BEATLES AT THE BEEB」(BOX set)においては昔の放送用レコードからの再生だったのだろう。

← 写真  左側から

「Rough Notes」(POD)                  「AT THE BEEB」(BOX set, London Wavelength)                (3LPのものと4LPのタイプがある)         

「AT THE BEEB Vol.1」(Beeb Transcription)

 このように「Scrap」は1976年9月のプレスであるというのが私の意見だが、総じて「Scrap」には、1976年当時としてはかなりレアな音源が収録されていたといえる。例えば、A1とA11の音源はあまり認知されておらず、LPブートレッグにはこの「Scraps」にしか収録されていないのではないだろうか。A2の「How Do You Do It」もLP初収録だった可能性があり、A3の「Love Of The Loved」はそれまでのCBM盤やWizardo盤より音質が向上したシングル盤ブートからだった。

 この「Scraps」をリサーチしていたプロセスの中で、ひとつ興味深いことがあった。この製作者はSFFニューズレターから、随時情報を得ていたと思われるが、実は1976年4月に発行されたSFFNo.19おいて、Melvinの「21」が通信販売されているのである。

 当初私は、当然ながら「Scraps」の製作者はそれを入手していたと考えたのだが、「21」の収録曲と重複タイトルであるA5、6、9、10、B2を含め、一切「21」からはコピーしていない。「21」には既発曲であっても音質が向上し収録されていた。だが、実は通信販売のカタログには「21」についてすべての曲は既発のブートレッグに収録されているもの」とだけ記載されている。

↑ 写真 SFFニューズ・レターNo.19(1976年4月送付)ブートレッグの通信販売で「Hot As Sun」と「21」が販売された。ここには「21」について「すべての曲は既発のブートレッグに収録されているもの」と書かれている。この書き方はどちらかというとネガティブな評価ともとれる。

 おそらく「Scraps」の製作者は「21」(写真左、Melvin MM02)の存在は知っていたものの、入手していなかったのではないか?カタログ記載内容から、特にアップ・デートされたトラックは無いと受け取り、購入はせず、既発のブートレッグから同名タイトル曲をコピー収録し、「21」を意識したソング・オーダーにし、それをもう一つのセールス・ポイントにしたかったのではないかと考えるのである。(だとすると余計にこの人物はSFFとつながりがあったと思われる)

 この製作者はSFFニューズ・レターから情報を得て、いち早く「How Do You Do It」をコピーした。そして後の1979年にSFFのブートレッグも同じプラントを利用しているということは、SFFが販売した「The Deccagones」や「Rock’N’Road」などのブートレッグ製作をこの人物が請け負ったとも推測できる。当然、マトリックス「CO8447」のカウンターフィット盤(Wings / Open-End Interview)をプレスしたのも同一人物であろう。

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