ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

                                Reviews 17                    How Do You Do it / Revolution  (SFF/SOK 21 )

 1976年、Joe Pope 氏はBeatlesの未発表曲をシングル盤に収め、販売することにより商業的成功を得た。そしてこの成功は次の年のDeccagoneシングル・シリーズへと続き、さらなる大成功を収めることになった。つまりは、このシングル盤の販売によって、商業的成功のための、いくつかの手掛かりとなるヒントを得たのである。一つはシングル盤のプレスはLPほどコストがかからない、二つめは、収録したマテリアルも大事ではあるのだが、ピクチャー・スリーブの存在は購買意欲を促進させ、さらにカラー印刷のピクチャー・スリーブだと効果は増大すること、そして三つめは、カラー盤でプレスすることも同様の効果が得られることであった。こういった商法により、彼は1977年のDeccagoneシングル・シリーズにおいて、その集大成として開花し、大きな収益へとつながっていったのである。

 このシングル盤のA面にはビートルズのデビュー曲となる予定だった、1962年9月4日録音の「How Do You Do It」が、B面には1968年9月4日にトゥイッケナム・フィルム・スタジオで「Hey Jude」と共に撮影されたプロモーション・ビデオの「Revolution」が収録された。この「Revolution」は1968年9月19日にBBCの「トップ・オブ・ザ・ポップス」で放送されたものである。

 どちらも極上の音質で収録され、コンテンツ・クォリティーとしては申し分なかった。一気にファンからの注目を浴びることになり、その後、数々のLPブートレッグにもコピー収録されることとなった。

 シングル盤はJoe Pope氏によるファン・クラブ、Strawberry Fields Forever(SFF)を通し通信販売された。また1976年7~8月にかけてボストンで行われたビートルズ・コンベンション「Mystery Tour '76」の会場でも販売された。

 1976年6月頃に送付されたSFFニューズ・レターNo.20には7月下旬から8月初めまで行われる「Mystery Tour '76」のスケジュールが同封され、次のNo.21には「How Do You Do It / Revolution」のオーダー・シートが同封された。それによると、最初のプレスにはピクチャー・スリーブはついていない。レコード・カラーはレッド、グリーン、ブルー、イエローの4種類でプレスされた。

 

マトリックスによる分類

 まず、数あるバリエーションを整理するため、マトリックスではどのように分類されるかまとめておく。以下 Type  A ~ Type D までを参照していただきたい。

上段より

Type A: 最初のプレスより使用された、オリジナル盤マトリックス


Type B: TypeAのSideAスタンパーが新しいものとなった、オリジナル盤マトリックス



Type C: オリジナルのマトリックスに似せた筆跡で書かれた、コピー盤マトリックス


Type D: Type Cとは別のコピー盤マトリックス、音質はType Cよりも劣る

 オリジナル盤初回プレスは1976年の6月頃、前述の通りJoe Pope氏によるファン・クラブ、Strawberry Fields Forever(SFF)を通しSFFの会員へ通信販売が行われたのと、同年7~8月にかけてボストンで行われたビートルズ・コンベンション「Mystery Tour '76」の会場でも参加者へ販売された。初回プレスにはピクチャー・スリーブは付いていない。レコード・カラーはレッド、グリーン、ブルー、イエローでプレスされ、オーダー時に選択可能であった。マトリックスはType Aである。そして、「How Do You Do It」について書かれた(イエローまたはライト・グリーンの)インサートがついていた。しかしこのインサートの内容にはミスがあった。「Love Me Do」の曲名を「Please Please Me」としてしまっていた。

↑写真 HD01

初回プレスにピクチャー・スリーブは付いていない、マトリックスはType A

← 写真 インサートの説明書きに「Please Please Me」と誤記された

  7月頃に会員に送付されたSFFニューズ・レターNo.21には次のような(左下写真)オーダー・シートが同封された。 レコード・カラーはレッド、グリーン、ブルー、イエローから選べるようになっているが、既にブルーとイエローはソールド・アウトとなっている。そして9月~10月頃に送付されたNo.22には再度新たなオーダー・シートが同封された。(右下写真)

↓ 写真 No.21に同封されたオーダー・シート               ↓ 写真 No.22に同封されたオーダー・シート 

 No.22に同封されたオーダー・シートには、初回プレス盤はソールド・アウトになったと記載されている。そして次のプレス分を販売するとあるが、2つの改良がなされた。一つはピクチャー・スリーブを新たに制作したこと、もう一つは初回プレスのインサートの内容に誤りがあったため、修正したものを新たに印刷したとのことだった。

↑ 写真 HD02 初回プレスがソールド・アウトの後、新たにピクチャー・スリーブが制作され、$4.00で販売された。(ピクチャー・スリーブ無しでは$3.00)また、インサートは正しく「Love Me Do」に修正された(↓写真)。マトリックスは変わらず、Type Aのまま。


← 写真 HD03

インサートの中には下部がカットされたものがある。アメリカ国外販売用とも思われる。

↓ 写真 HD04

レアなセンター・ホールがスモール・タイプ

ここまでピクチャー・スリーブ及びマトリックスはType Aで変わりはない。HD04にはインサートは付いていなかった。

↓写真 同じピクチャー・スリーブ、そしてType Aのマトリックスで、複数の色が入ったマーブル様のカラー盤もプレスされた。(どちらも未リスト)

 次の段階ではピクチャー・スリーブに僅かな変化があった。ピクチャー・スリーブの上部には扇状の切り欠きが無くなり、平坦なカットとなった。以降のバリエーションはすべてこのタイプのピクチャー・スリーブである。そしてこのタイプ以降、インサート付きは確認されていない。


← 写真 上部が平坦となった、ピクチャー・スリーブ

インサートは付いていない



初期のプレスとは異なり、クリアやピンクなどのカラーでもプレスされている




HD05 写真 ↓ マトリックスは変わらずType A

 この後、マトリックスは Type Bとなる。Side Bのマトリックスに変わりはないが、Side Aのスタンパーは新たなものとなった。若干マスタリングも異なっているものの、ほとんど音質に変わりはない。


← 写真 HD06

ピクチャー・スリーブは上部が平坦なタイプ、マトリックスはType Bとなった

そして次より、さらにピクチャー・スリーブに変化があった。写真の外枠が太い黒枠となった。上部は平坦なカットである。


← 写真 写真の外枠が、黒い太枠となった新たなピクチャー・スリーブ

写真 左下 HD07

写真 右下 HD08

マトリックスはいずれもType B

 

 以上、オリジナル盤はこれらHD07/8の仕様が最後となる。このシングル盤は1977年以降もSFFのカタログで販売され続け、少なくとも1982年後半ごろに発送されたカタログでも販売されていたことが確認できている。そのためプレス枚数はかなりの数ではないかと推測する。

 以下、HD09とHD10は異なるブートレッガーによるコピー盤である。

↑ 写真 HD09  ピクチャー・スリーブは付いていないが、インサートは付いている。マトリックスはType C、オリジナルのマトリックスに似せた筆跡となっている。音質はやや劣っている。

↓ 写真 HD10  こちらもピクチャー・スリーブは付いていないが、インサートは付いている。複数種類のカラー盤でプレスされており、インサートも下部カットのタイプや、ライト・グリーンタイプなどのバリエーションがある。マトリックスはType D、このタイプの音質がもっとも悪い。

 さて、このシングル盤に収められた「How Do You Do It 」とRevolution」の音源についてだが、どのようにJoe Pope氏がマスター・テープを入手したかの真相は分かっていないものの、多分にRKOのスペシャル・ラジオ番組と関係がありそうである。

 Joe Pope氏によるシングル盤が販売された1976年6月より約半年後の、1977年にアメリカにおいて「RKO Presents the Beatles」(後に「The Beatles fromLiverpool to Legend」と改名される)という番組がラジオ放送された。この放送は15時間に及ぶ長時間番組であった。

  放送では、HOUR 3とHOUR 9 において、シングル盤と同じ音源である「How Do You Do It / Revolution」が放送された。もちろん「Revolution」はBBCの「トップ・オブ・ザ・ポップス」放送用のマスターである。


← 写真 

 1977年に放送された「RKO Presents the Beatles」(「The Beatles fromLiverpool to Legend」)のキュー・シート。15時間に及ぶロング・プログラムだが、Hour 3 で「How Do You Do It 」(写真右上)が Hour 9 で「 Revolution」(写真右下)が放送された。

 この放送を収録したブートレッグは無いが、オークションで15枚組の放送用LPレコードが出品されたり、コレクターの間ではこの放送用レコードから作られたCD-Rが売買されることもあった。この放送用レコードから、2曲の音を聞く限り、どちらが、どちらかからのコピーということは考えられず、両方とも同一マスターからの音のようである。RKOがどのようにしてこの音源を入手したのか、それは不明であるため確かなことは言えないが、テープ提供者と両者を繋ぐ共通の仲介役がいたか、Joe Pope 氏と番組プロデューサーとの間に接点があったとも考えられる。

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