ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Review 19                            Wizardo Records    a.k.a. WRMB (Wizardo Records Movie Buys)

 1975年にWizardoは独自のレーベルを作り、ブートレッグを量産し始めた。

 Wizardoは1972年からブートレッグを製作を始めていたが、それは「Wizardo Rekords」というレーベル名でいくつかのブートレックを制作した。Beatles名義では'Get Yer Yeah - Yeah's Out' Live At The Hollywood Bowl 7-24-64 (HOL022)(HOL023)がある。しかしそれらは、別ブートレッガーがプレスしたものをリメイクしたもので、完全なる自分自身のレーベルとは言い難かった。参照→HOLLYWOOD BOWL LIVE / Phase 4

 彼が独自のレーベル製作を望んでいた頃、それを知ったTMOQのD氏の父親であるBigD氏は、WizardoにJ氏という人物を紹介した。

 その頃J氏は既にいくつもの事業を展開していたが、もともとはサックス奏者であったという。1950年代、短期間ではあったものの、ロス・アンジェルスで自分のテレビ番組も持っていたことがあり、映画出演の経験もあった。

 中でもJ氏はMovie Buysという通信販売業社をハリウッドに構えており、ロックのパフォーマンスを収録した短い8mmのムービーを販売していた。2020年に行われたWizardoのインタビュー(「Wizardo: Stories Of A Bootlegger」にも掲載)の中では、その事実がWizardo によって語られているが、そのムービーの品質はひどいものだったが、よく売れていたという。

 J氏はWizardoの新レーベルへ出資に乗り出し、「Wizardo Records」は誕生した。WRMBはWizardo Records Movie Buysの略で、前述のJ氏の通信販売業者名からMovie Buysはきている。

↑写真:左はMovies Illustrated(1966年3月)という映画専門誌表紙、その中にみつけた「Movie Buys」の広告である。写真右は別ページに掲載されている広告で、業者名は「Beatles Buys」となっている。

 このWRMBはレコード・ナンバーの冒頭に付けられ、「One To One Concert + More」のナンバーである301より始まっている。このページでは初期のWizardo Records(WRMB)に関しまとめるが、ここで言う初期とは、およそWRMB301から306までを指す。

 というのもWRMB301~306までには共通の特徴があるからであるが、それは、これらのフロント・スリックには「5・1・75」(1975年5月1日)の日付があるという点と、フロントはブラウンのスリックにプリントされ、デザインも定型である。


←写真右WRMBとしての最初のレコード・ナンバーは「WRMB 301」、「John Lennon / One To One Concert + More 」だった、スリックにある日付は1975年5月1日。

←写真左:「30 Nostalgia Hits」としてのWizardo Recordsの番号「102-232TW」。スリックの日付は6月9日である。J氏の「Fan-Buys Marketing」レーベルによるプレス、「SP602」()などは、それよりも先のプレスでありJ氏が単独で行ったもの。

↓写真下:2024年発売の「Wizardo: Stories Of A Bootlegger」の中では、「BOWIE 74 LIVE(WR 201)」(7", 33 ⅓ RPM)が紹介されているが、当初J氏はレコードの製造過程を全く知らなかったので、Wizardoがレコード・プレス工場に連れて行き、マスター・テープからプレスまでの工程を説明したという。その時プレスしたのがこのレコードで、コストを抑えるため7インチ盤での製造となったという。そのためか、このレコード番号は「WRMB」ではなく、Wizardo Recordsを示す「WR」のみ先頭についており、「201」という200番台が割り当てられている。

 前述のインタビューによると、J氏はWizardo Recordsを始める前に、「Fan-Buys Marketing」レーベルのブートレッグ、すなわち「SP602」をプレスしていたという。

 この「SP602」に関しての詳細は別ページに整理するとして、SP602からWizardo Recordsの「30 Nostalgia Hits」というタイトルとされる時に、そのスリックには「102-232TW」という番号が付けられた。なぜこのようなレコード番号になったかは不明であるが、少なくともこの番号に連続した番号のタイトルは無い。唯一、「WR-201」が発見されているが、これはWizardoがJ氏にレコードの製造過程を教えるためにプレスしたものとされている。(上記写真参照)

 「John Lennon / One To One Concert + More (WRMB301)」から始まる番号が300番台であったことは、結局100番台と200番台は使用されず切り上げられた300番台が使われたと推測できる。

 WRMB301~306の中でBeatles関連のタイトルは3つ。スリックにも共通点があるが、使用されたディスク・レーベルにも初期で見られる共通の特徴がある。

 WRMBの割り当てられた最初のナンバーは301で、タイトルは「John Lennon / One To One Concert + More」、初期のタイトルの共通の特徴はブラウンのスリックが使用されていること、アート・デザインもほぼ定型。ディスク・レーベルはこの初期にしか見られない「SIDE A/B」のみ表示されているタイプも使用された。タイトルによっては、ベージュあるいはホワイト、リイシューでは縮小型ピンク・スリックも使用された。ディスク・レーベルも定型の「SIDE ONE/TWO」表示のタイプも使用されているがネイビー、ライト・ブルーなど微妙に色合いが異なる3種類が確認されている。

↑写真:John Lennon / One To One Concert + More(WRMB301)

4種類のレーベルでプレスされたことが確認されている   写真→

左上:WRMB301-1  右上:WRMB301-2

左下:WRMB301-3  右下:WRMB301-4

詳細は各リンク先を参照

WRMB302の Paul McCartney / In Scotlandにおいてもほぼ、WRMB301と同様の仕様で確認されている。

↑写真: Paul McCartney / In Scotland (WRMB302) WRMB301同様にスリックにある日付は5月1日、ブラウン、ホワイト、縮小ピンクスリックが確認され、ディスク・レーベルも以下の種類が確認されている。↓写真:左より WRMB302‐1 WRMB302‐2 / 3

WRMBシリーズで初のBeatles 名義のタイトルとなったのは「Complete Un-Cut Soundtrack To A Hard Day's Night 」(WRMB303)であった。↓写真下(WRMB303-1

やはりサイド表示が「SIDE A/B」のタイプが確認されているが(WRMB303-1)、次のようなバリエーションもある。

↓写真:左より WRMB303-3  WRMB303-2  WRMB303-3 (上段が各フロント・スリック、下段が各ディスク・レーベル)

 このような初期の仕様、ディスク・レーベルのサイド表示が「SIDE A/B」とプリントされているものはWRMB306まで確認できている。しかし、フロント・スリックの日付が6月9日となるWRMB307以降では確認できていない。

↑写真上:「Elvis Presley / On Stage In The USA」(WRMB304)、J氏はElvisのファンであったと伝えられている。

↑写真上:「David Bowie With The Spiders From Mars / London · July 3, 1973」(WRMB306)  ここまでスリックの色、ディスク・レーベルの仕様などが同一であったが、WRMB307よりスリックの日付が6月9日となり若干仕様の変化がみられる。

 WRMB307の「Queen / The Royal American Tour 1975」以降はブラウンのスリック や、サイド表示「SIDE A/B」のディスク・レーベル・タイプは使用されなくなった。(↑写真左上)

 余談だが、WRMB309「Gentle Giant / Playing The Foole In Wonderland」(↑写真右上)のSide 2の最後には電話でのある 会話が収録されている。それはブートレッガー同士の会話と言われていたが、後にそれはTMOQのK氏とWizardoの会話の録音であることが分かった。内容はK氏が他のブートレッガーに対する不平をWizardoが聞いているようである。

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