ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Review 21                           CBM  "Don't Pass Me By"  with Mimeograph Printing

 初期のCBM盤は、未だ詳細がわかっていない部分が多い。CBM盤「Don't Pass Me By」は古くからそのタイトルはポピュラーであったものの、時期や詳細な仕様などが明らかになってきたのは後になってからだった。

 これまですべての、発信されてきたビートルズ・ブートレッグに関する情報において、CBMに関するものは「Don’t Pass Me By」を起点にしており、それを1972年としている。

 このページでは「Don't Pass Me By」のMimeograph印刷された初期のプレスを取り上げ、ストーリーズ 6「How did "CBM" get its start?」と併せて、「Don't Pass Me By」が登場した時期とその詳細をまとめてみた。

(Mimeograf印刷に関しては→詳細)

まずMimeograph印刷された CBM盤は次のタイトルが発見されている。

1. George Harrison, Bob Dylan / Concert For Bangladesh (→Bang11)

2. Jimi Hendrix Experience /  Eric Clapton, Ginger Baker, John Mayall, Jack Bruce  (→Section11)

3. Neil Young / Rocky Mountain Review   (→Section11)

4. Beatles /  SHEA STADIUM LIVE STEREO  (→SHGO4)

5. Beatles / Don't Pass Me By

参照 → セクション 11 Re-pressed "Shea The Good Old Days" (リプレスされた 「Shea the Good Old Days」)

 この中で複数種類の印刷が確認されているのは「Don’t Pass Me By」のみである。しかし、「Don't Pass Me By」カバー表面のMimeograph印刷は、かなりの頻度数でミスが目立ち、ほとんどが失敗と言っていいレベルである。一方で他のタイトルではほとんどミスや失敗が無い。

 このCBM盤のカバー表面にされたMimeograph印刷は謄写版印刷の中でもタイプ孔印刷と呼ばれる、原紙をタイプ・ライターに備え付けるものである。よって、「Don’t Pass Me By」においては失敗が繰り返され、要領を得てから他のタイトルの印刷を行ったと考えられる。つまり「Don't Pass Me By」がこの印刷の始まりだった可能性が高い。

「Don't Pass Me By」のMimeograph印刷は5タイプ確認されている。本ウェブ・サイトとlivedoor-BlogではTypeⅠからⅤまでに分類しリストした。さらにこのページでは、それらのプレスをわかりやすくまとめた。

マトリックスに関して先に申し上げると、Type Ⅰ~ Ⅴまですべてマトリックスは同一、下の写真の通りである。

Side1: CBM2A2    /    Side 2: CBM-2B    /    Side 3: CBM2-C1    /      Side 4: CBM2-D1      (↓下写真:Matrix)     

Type Ⅰ / Type  Ⅱ  

↑上写真: Type Ⅰ- a(DPB01)  TypeⅠとTypeⅡには大きな共通点がある。それはディスク・レーベルはDisc 1がレッド、Disc 2がグリーンの単色であることで、そのためTypeⅠのMimeograph印刷ではサイド表示が「RED/GREEN」となっている。TypeⅠ- aではライト・ブルー印刷のスリックが付いているが、TypeⅠ- bにはついておらず、Mimeograph印刷の上に「ALL ROYALTIES PAID」のスタンプが押されている。そのスタンプは、British Blue Jam (BJ2)などに押されているものと同一である。           ↓下写真:TypeⅠ- b (DBP02)  

 TypeⅡも特にスリックは無く、ホワイト・カバーにMimeoguraph印刷がなされているだけである。サイド表示はTypeⅠと異なり「SIDE A/B/C/D」となっている。しかしながら、TypeⅠと同様、最初の行「two discs ~」は小文字で書かれていることと、最後に「*  with   T   Sheridan」とあることなど共通点が多いことから、TypeⅠとⅡは、ほぼ同時期の制作と思われる。                           ↓下写真:TypeⅡ(DPB03)

Type  Ⅲ

 TypeⅢ以降には大きな変化がみられる。ライト・ブルーで印刷されたスリックはすべてについていることが確認されており、ディスク・レーベルはグリーン地にブラウンで、社名とナンバーが印刷された ものとなった。

↑上写真:TypeⅢ(DPB04)    ↓下写真:TypeⅢからTypeⅤまでに見られるディスク・レーベル

 TypeⅢにおけるMimeograph印刷では、最初の行「TWO DISCS ~」は大文字となった。TypeⅠとⅡで見られたような、原紙の破れか、傷によるインクの染みはほぼ無くなり、印刷の歪みもほぼ無くなった。しかし、SIDE Bの2曲目「Fine All Over」と書かれたタイトルの上下が1行分空いていたり、「The Saints」と「My Bonnie」の後には「*」が付いているが、Type ⅠとⅡに書かれたあった「* with T Sheridan」が無かったりと、依然としてミスも多い。


Type  Ⅳ

↑上写真:Type Ⅳ  (DPB05)

 Type Ⅳの基本仕様はTypeⅢと同じ。若干TypeⅢとMimeograph印刷に違いがある。最初の行「TWO DISCS ~ 」は大文字。しかし、1行目と2行目の行端が揃っていなかったり、SIDE Bの4曲目の数字とタイトルの間が空いていたりする。またSIDE Bの下が、「Continued」の後、改行され、「1963 thru 1969」となっているのがこのタイプの特徴である。「The Saints」と「My Bonnie」の後に「*」は付かなくなった。よって最後の「* with T Sheridan」も当然無い。


Type  Ⅴ

↑上写真:Type Ⅴ -  a    (DPB06)

 Type ⅤのMimeograph印刷はこれまでの中で最も完成度が高い。ミスが無く、行端が揃っている。再び「The Saints」と「My Bonnie」の後に「*」印が付き、最後に「all cuts John, Paul, George, & Ringo except 'Saints' & 'Bonnie' 」との文章が加えられている。TypeⅠ~ⅤまでのMimeograph印刷の中でこのTypeⅤが頻度数的に多く、発見しやすい。

 そして、下記のような赤い蛍光色のステッカーが貼られたケースも見つかっている。赤いステッカーにはブラックで「THE BEATLES! THE LAST GREAT BOOTLEG NEVER BEFORE RELEASED TWO RECORD SET」とプリントされているが、これは多分にホワイト・アルバムのUSプレスに付いたステッカーを意識したと思われる。

決してこのType Ⅴのタイプに必ずステッカーが付いているわけでは無い。    ↑上写真:TypeⅤ-  b   (DPB07)

 ステッカーは様々な形で見つかっており、TypeⅤ-aのスリックが付いているタイプにも貼られていたり、シュリンクの上から貼られていたりもする。つまりこの仕様が定型というわけでは無い。


 これらTypeⅠ~ⅤのMimeograph印刷されたものは、すべて1971年の前半から中頃にかけて制作されていたと思われる。前述のとおりマトリックスはすべて同じ。この頃の「Don't  Pass Me By」は日本に入荷してきていない。1971年の終わりから、1972年にかけて、リイシューのプレスがあった。その時Side 1のマトリックスは「CBM-2A」に替わり、Side 1の冒頭にJethro Tullの曲がミスで入ってしまった。これらのプレスは主に1972年の後半に日本に入荷したようだ。その結果、1970年代に日本で発売されたブートレッグ紹介本にはすべてSide 1はジェスロ・タルの曲と記載され、それは1985年発売の「ビートルズ海賊盤事典」になっても同様であった。

 「Don't Pass Me By」は以降1975年までプレスされ続けた。しかし、異なるスタンパーを使用した上に、Disc1と2をそれぞれシングル・アルバムとしてもプレスした結果、スタンパーの組み合わせとそれぞれの仕様は複雑になっていしまった。

以下簡単ではあるが、以降の「Don't Pass Me By」 に使用されたマトリックスの組み合わせの変遷をまとめた。


CBM盤「Don't  Pass Me By 」で使用されたスタンパー・マトリックス

1971年~1972年 DPB 01 /  02  /  03  /  04  /  05  /  06  /  07  / 08 / 09 

CBM2A2 / CBM-2B / CBM2-C1 /  CBM2-D1

1972年 DPB 10  /  11

CBM-A2 / CBM-2B / CBM2-C1 / CBM2-D1

1972 (?) - 1973年 DPB12

CBM-A2 / CBM-2B / CBM2-C1 RI 3316 C / CBM2-D1 RI 3316 D

1973年  DPB13

CBM2A2 / 3316B (Mirrored) CBM-2B / CBM2-C1 / CBM2-D1

1973年  DPB14

CBM2A2 / 3316B (Mirrored) CBM-2B / CBM2-C1 / CBM2-D1  (Scratched Out) 3316D

1974年  DPB15

CBM2A2 / 3316B (Mirrored) CBM-2B / CBM2-C1 RI 3316 C / CBM2-D1 RI 3316 D

1974-1976年              DPB16    /      DPB17

(Scratched out)3316-A2 / (Scratched out)3316-B2 / CBM2-C1 RI 3316 C / CBM2-D1 RI 3316 D

   当サイトに掲載されているコンテンツ(写真、文章など)を無断で使用、複製等することを禁止させていただきます。

   ( No Unauthorized Reproduction of this content. )

Powered by Webnode Cookie
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう